統計科学のフロンティアシリーズも最後の配本となる計算統計IIが出ました. Amazon のページは
こちら副題はマルコフ連鎖モンテカルロ法とその周辺ということで,MCMCについてのこれでもかという気合いの入った本です.
私は伊庭さん執筆の部分は事前に draft を見せて頂いたので,伊庭さんの気合いの入り方は感じていましたが,それ以外の方々のもぱらぱらっと眺めただけでもおなかいっぱいになりそうです.
MCMCについては,和書でも最近やっといろいろな本が出てきましたが,これだけ詰まっている本はないと思います.
GAなどとも関係が深い逐次モンテカルロについては補論としてやはり伊庭さんが解説を書かれています. これまた書きようによっては本一冊書けそうなネタですが,逆にコンパクトで読みやすいと思います.
それから,この本のまえがきのところで,平均場近似を扱った計算統計Iを参照しています. 平均場近似かMCMCかって結構悩む部分のような気がしますが,研究者レベルで見ると平均場近似の人は平均場近似ばっかりやっていて,MCMCの人はMCMCばかりやっているようにも思えます. 問題の向き不向きよりも,研究者の得意不得意で決まっているんじゃないかと穿った見方もできますが,まあそれぞれ理由はあるんでしょう.
ちなみに本にも書いてありますが
サポートページを伊庭さんが作っています.
私は統計科学のフロンティアを一応全巻そろえましたが,伊庭さんなどに聞くと,やはり売れてるやつとそうじゃないやつがあって,しかもそれを聞くと私の好みとかとはあまり相関がないみたいです. いい本だからといってよく売れるというわけではないということでしょうか.