朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

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カーネル多変量解析第8刷お礼

お久しぶりです。

2016年9月5日付でカーネル多変量解析の8刷が発行されました。
もう初版から8年ほど経っていますが、ご愛顧いただき有難うございます。
8年の間に、計算量やメモリ量を削減するような手法の工夫や、福水さんのカーネルベイズの登場などでいろいろな進展がありましたが、基本的に重要な部分はそれほど変わっていないと思います。
また、今回はしばらく放置していた誤植を修正しました。

一方世の中はディープラーニング真っ盛りで、私も成り行きで某雑誌に解説文を書いたりしました。
ディープラーニングも理論的にいくつか面白い研究がある一方で、世の中は実用化に対する過度な期待感があって、状況が違うとはいえ、昔のニューロブームに似た空気感を感じてしまいます。

いろいろな大学や研究所でAIやデータ解析の研究センターが設立され、いろいろな予算を獲得しようという話をたくさん聞きますが、だいたい箱だけ作って中身がなくて、ふたを開けてみたらAIじゃない人たちばっかりだったということも多いみたいです。

何回も書いているように、私はどちらかというとそういう喧騒からは少し距離をおいて研究していきたいなと思っています。
秋の夜長、じっくり本でも読みながら過ごしたいと思います。
本と言えば正定値行列や制御の情報幾何で有名な小原敦美さんから献本いただいた
行列不等式アプローチによる制御系設計 (システム制御工学シリーズ)
はあまりまじめに勉強してこなかった制御の話がしっかりと書かれている本なのでとりあえずこの辺から読んでみようかなと。

情報幾何で思い出しましたが、チェコで開催された情報幾何のワークショップ IGAIAに参加しました。甘利先生も80歳になっても相変わらず衰えることなく研究にもビールにも遠足にも全力を注がれていました。 凄過ぎます。

情報幾何関係の最近の書籍としては、以前に紹介した藤原さんの
情報幾何学の基礎 (数理情報科学シリーズ)
の他、甘利先生が日本語で書かれたものを英訳した上で全面的に手を入れた
Information Geometry and Its Applications (Applied Mathematical Sciences)
も出ましたし、名工大の松添さんの
Differential Geometrical Foundations of Information Geometry: Geometry of Statistical Manifolds and Divergences
も近日中に出版されると思うので、数学的にしっかりしたものを読みたい方にはお勧めだと思います。









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カーネル多変量解析7刷お礼&近況報告&面白そうな本

5月25日付でカーネル多変量解析の7刷が発行されましたのでお礼方々ご報告申し上げます.

気づいてみるとこのブログも前回更新してからほぼ1年更新してませんでした.
前回は6刷のお礼で今回が7刷のお礼.
ほぼ増刷のお礼ブログの感がありますが,絶版されるまでは続くでしょう.
この間にもAmazonレビューが一つ増えました(ほめ過ぎですがヤラセではありません^^;).
一方,先日 Facebook で突然友人から「同僚がこの本で勉強してた」というコメントをもらって冷汗出ましたがうれしかったです.
これからもみなさんご愛顧の程よろしくお願いします.
(ちなみに4刷からは誤植もそのまま放置していますので本屋さんとかで古い版が置いてあっても違いはありません.)


さて,1年も経つといろいろなことがありますが,身の回りの話を書くと,ちょっとだけ所属が変わりました.
産総研は中期計画の第3期というのが終わって4月から第4期というのに突入したのですが,その際に再編が行われて,
私が属している情報数理研究グループはメンバーはそのまま人間情報研究部門というところに属すことになりました.
上の名前はコロコロ変わりますが.情報数理という研究室で25年変わらずずっとやってきたので,上の方で何が起きても関係ない感じです.

ただ,昨今の人工知能やビッグデータなどのブームで産総研も遅ればせながら人工知能研究センターというのが5月に発足しまして,私も片足だけ突っ込んでいます.なんとなく機械学習分野では研究のスピードが速くなっているというイメージを持っている人が多いようですが,理論的なところとか基本のアルゴリズムなんかはそんなに速く進んでいるわけではないと思っているので,あまりブームに巻き込まれずマイペースでやりたいなと思っています.


最後に機械学習関連で面白そうな本もこの1年いろいろ出てきたので少しリストしておきます.

甘利先生の情報幾何の新展開
数理科学の連載に加筆修正を加えたもの.情報幾何に関する定本の一冊になるでしょう.
本当はもっと分厚い本でがっつりしたのが望まれるところですが,出版業界もなかなか厳しいのでそんなにマニア向けの本は出せないでしょうね.
ちなみに英語版が企画されており,そちらは誤植なども直っているとのうわさもあります.

それから,ヘイスティ本の翻訳:統計的学習の基礎
ビショップ本よりやや翻訳チームが若くなっています.
これの原著はかなり昔がっつり輪講しましたが,行間を相当読む必要のある本で,手元に現物がないのでその辺り配慮があるのかどうかがよくわかりません.単なる翻訳だとするとビショップ本よりは少しとっつきにくいかも.でも個人的にはビショップ本より好きな本です.

最近,杉山さんを中心に若手の方々が出された本:機械学習プロフェッショナルシリーズ
これも手元になくてパラパラっと見ただけですが,プロフェッショナルといいつつそれなりに初学者向けの配慮はされているようです.岩波本と違って(?)予告されているシリーズがちゃんと出ていきそうです.岩波本よりもページ数も少なめなのでその分著者の負担も軽いというのもあるかもしれません.
上記リンクは東北大の岡谷さんのディープラーニングの本で,ブームなので結構売れそうです.ほかにもNTT・CS研の岩田具治さんのトピックモデルなんかも面白そうです.トピックモデルでは東大中川研の佐藤一誠さんのトピックモデルによる統計的潜在意味解析というのも出ていて,この分野の注目度の高さを表していますね.

かくいう岩波本にも乱数生成と計算量理論というシリーズ5冊目がようやく登場.これまた手元にないのでわかりませんが,最初は私の本と色が同じ?かと思ってしまいましたが並べてみるとこちらはやや紫がかった色です.

テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

カーネル多変量解析6刷お礼

カーネル多変量解析の初版6刷が5月15日付で発行されました.(中身は4刷から変わっていません.)
みなさまのご愛顧のおかげです. ありがとうございます. 
Amazon でもずっとなかったカスタマーレビューが最近1件だけですがつけていただけたのもなんとか生きながらえている一因かと思います.
今後ともよろしくお願いします.

# 追記: そういえば消費税値上げの影響で税込み価格が値上がりしております^^

さて,5月は松山で行われた人工知能学会の全国大会とDeep Learningの湘南会議というのに参加したのでショートレポートします.

人工知能学会はなんとなく怪しげだなあという先入観があってずっと敬遠してきたのですが,昨年の富山から参加しています.
まあなんだか学問として怪しい話も結構ありますが,機械学習関係の発表はかなりクオリティが高いです.
たくさんパラレルになっているので聞きたい発表が重なっていると部屋を行ったり来たりするのが大変ですが,これは贅沢な悩みですね.
最近元気がない国内学会の中では活気のある学会だと思います(国内学会もむやみとたくさん増えたのでいい加減減らせばいいと思うのですが...).
内容もいいですが,場所も温泉と地酒縛り?な感じで参加のモチベーションがわきます.

もう一つの湘南会議というのは,2011年からNIIが主導して開催している合宿形式の研究会で,今回 dropout とかで有名な Pierre Baldi を中心に企画されました. Deep Learning は機械学習のホットトピックの一つですが,私の中では一種の spam word になっているので,昨年の5月に invitation mail が来たときたぶん無意識にスルーしてしまったんだと思います. 先月統数研の福水さんにお会いした時に「あかほさんのところにも invitation 出しましたよー」というのを聞いて古いメールを掘り出して急きょ参加することになったという事情です.
まあ Deep Learning といっても日本ではほとんどそれ自体を研究対象としている人はおらず,海外からの参加者もさまざまな人たちが参加したのであまり Deep Learning ガッツリという感じではありませんでした.
ただ,自分より圧倒的に優れた方々と英語漬けな研究環境で過ごせたのはものすごく刺激になりました.
(早口でよくわからない話も多くて思いっきり消化不良気味ではありましたが)
甘利先生もフル参加でしたが78歳とは思えないほどお元気で私が修論指導を受けていた時と全然イメージが変わらないスーパーマンぶりでした.

参加者は,海外組では主催者の Pierre Baldi, Tomaso Poggio のほか Aapo Hyvarinen, Klaus-Robert Mueller, Jean-Philippe Vert, Joachim Buhmann, Shimon Edelman など20名ほど,
国内組は主催者の福水さんのほか,甘利先生,中原さん@理研,岡谷さん@東北大,栗田さん@広島大,麻生さん@産総研,杉山さん@東工大,津田さん@東大,恐神さん@IBM,Kevin Due @ NAIST, Erik De Schutter@OIST, 定政さん@NEC が参加されていました(記憶に頼っているので抜けているかも)

# 追記2: そういえば deep learning が流行っているせいか,昔高畠さんといっしょに研究していた contrastive digergence の情報幾何の論文に関する問い合わせがいくつかありました. なんかマイナー国際会議の上にリンク先が切れていたのでローカルに論文を置きました. 
Shotaro Akaho, Kazuya Takabatake: Information Geometry of Contrastive Divergence. ITSL 2008: 3-9

岡谷さんの解説記事を読むと,我々の提案している Progressive Contrastive Divergence は他の人が提案した Persistent Contrastive Divergence として知られているようです. 偶然頭文字が同じですが,研究も宣伝と発表する場所が大切だということですね.

カーネル多変量解析5刷発行お礼,Rで正準相関分析など

今日はお知らせをいくつか.

***

まず一つ目.
カーネル多変量解析ですが6月5日付で第5刷が発行されました.
一回ごとの刷数はわずかですが,多くのみなさまのおかげでなんとか絶版の危機からは脱しております.
ありがとうございます.

***

それから,神経回路学会誌の2013年6月号(20巻2号)に「正準相関分析入門 ー複数情報の観測からの共通情報抽出法ー」という解説記事を書きました.
上記リンク先にはまだ目次は出ていませんが冊子はすでに発行されています.

昔は機械学習の研究者と神経回路学会会員はかなりオーバーラップがありましたが最近はセパレートしている感じがしますので,ここで宣伝させて頂きます.

正準相関分析は複数の情報源から共通情報を取り出すという手法で,脳科学やバイオインフォマティクスなど幅広い応用を持つ手法です.

今回の解説記事ではとりあえずRやmatlab で正準相関分析してみることができるようにできるだけ易しく解説したつもりです.

難しいところは参考文献をあげるだけでごまかしていますが,麻生,栗田,大津の非線形正準相関分析の話はあまり目にする機会がないと思いますので少し詳しく説明しました. マルチモダリティ・センサフュージョンといった問題にご興味がある方はぜひお読みいただければ幸いです.

同じ号では以前産総研にいらっしゃった栗田さん(広島大学)が巻頭言を書いていらっしゃいますが,私のカーネル正準相関分析の仕事も,栗田さんや今も産総研の麻生さん,退職された大津さんなどの仕事に触発されての研究です.

なお,神経回路学会の記事は通常2~3ヶ月で会員に電子アクセス可能な状態になり,1年後にはフリーアクセスになります.

***

最後にもう一つアナウンス.

9月に鳥取で開かれる IBISML/PRMU/CVIM 合同研究会で,「機械学習におけるコストをめぐる話題」というタイトルで講演をさせていただく予定です.こちらもよろしくお願いします.

高速文字列解析の世界

岩波の「確率と情報と科学」の4冊目が出版されました.
岡野原さんによる 「高速文字列解析の世界」です.

実は12月に発刊され,ほどなく献本をいただきましたが,なかなか腰を据えて読む時間が取れず,ゴールデンウィークまでずれこんでしまいました.この場をお借りして献本いただいたことに感謝し,感想の投稿が遅れたことをお詫びいたします.

Amazonとかで見ると,猛烈な勢いで売れているようですね.久保本星野本も売れ行き好調なようなのでカーネル本もそれに引っ張られてぼちぼち売れているようです.

岡野原さんはいろいろなところでお見かけする程度で直接の面識はありませんが,巻末や Amazon ページに載っている著者紹介を見ると輝かしい経歴を持ち,現在は PFI という企業の経営に参画されているというすごい方です.

さて感想です.あくまで専門外の一素人としての感想なので専門家の方からすると的外れなことを書いてあるかもしれませんがご容赦ください.

Google などの検索システムに代表されるように,文字列解析はネット時代の花形です.Google で,検索語を入れるとほとんど瞬時と言っていい時間内に結果が返ってきます.これってちょっとプログラムをかじったことのある人にとっては驚異的だと思います.

文書の中の文字列を検索したり文字列数を数えたりするという課題自体は,素朴な方法ならプログラムもそれほど大変ではなく私のような素人でもなんとか作れるレベルでしょう.でも,そのようなプログラムでは決して Google のような早い検索結果を返すことはできません.あのような高速な検索を実現しているコアの技術が本書で紹介されている「高速文字列解析」の技術です.(もちろん Google の検索システム全体はいろいろな要素から成っているのでそれだけではないと思いますが).

全体の構成は1章でまず文字列解析の現状,2章で基本的な準備をし,3~5章で本書で取り上げる3つのデータ構造である「BW変換・簡潔データ構造・ウェーブレット木」について説明し,最後の6~8章で副題にある3つの応用「データ圧縮・全文検索・テキストマイニング」についての解説があります.

個人的にはカーネル法で文字列カーネルの計算に接尾辞木が使われていたりするので,そのあたりの周辺技術に興味があって前から勉強したいと思っていた内容でした.
(ちなみに接尾辞木については8章のテキストマイニングの章で説明されています)

私の場合は1章,2章までは岡野原さんの歯切れの良い文体に感心しながらすいすいと読んでいけました.つまづいたのは3.3の BWT の構築のところでした.親切にも「この節は高度な内容を含むので,読み飛ばしてもらっても構わない」と注意書きが書いてあるにも関わらずついつい無駄にチャレンジ精神を発揮して丁寧に読んでいったのですが,アルゴリズムの説明を文章で書いてあるところの理解が怪しくなりました.

本についていた帯を見ると「基礎から最新の実装技術まで」と書いてあります.この本の第一の特色は「実装技術」の部分にあります.日々文字列解析と格闘されている方が基本的なアルゴリズムをこの本を読んだだけで実装できるような形で記述されています.
ただ,逆に実装に慣れていないと書いてある説明を理解するのが難しいかなという気がしました(単に注意書きを守らなかった身の程知らずなのがいけないんですが).

ちなみに サポートページ には実装例へのリンクも張られているので,そこにあるコードを読んだりしながら本を読めば理解も早いのではないかと思います.

岩波本第3刷へのお礼と春の衣替えなど

つくばでは桜も満開ですが,ご愛読いただいている「カーネル多変量解析」も4月5日付けで第3刷が発行されました.
ひとえに読者の方々のおかげです. 誠にありがとうございます.
第2刷で見つかった誤植もほとんど修正されています.
(増刷が決まった後,また新たな誤植も見つかってしまいましたが)

出版から1年半,そろそろ売れ行きも落ち込んできましたが,新入生の方々に期待しております^^;
ちなみに相変わらず茨城県内の書店では目撃しておりません(もう見る機会もないかも).
先日盛岡に出張した際ジュンク堂で見かけて思わず手にとってみると,なんと最初に発行された1刷でした.
まあ売れてないな―という思いとともに,長い間本棚にいてご苦労様という気分になりました.

本というのは出版までが半分その後が半分で,読者の方々のさまざまな批評や感想
などによって本も著者も成長していくのだなあと感じています.
...と書いている割にサポートページの更新がおろそかなのはお許しください.
もうしばらく前になりますが,たにちゅーさんのブログで2009年に読んだ本ベスト5に選んで頂いていたのを知り,感激しました.

岩波と言えば,当シリーズの前の「統計科学のフロンティアシリーズ」には非常に好著がそろっているのですが,ぼつぼつ絶版の巻が出てきているという話を伺いました. とても残念ですが,世知辛い昨今仕方がないのかも知れませんね.

さて,春と言えば新たな年度のスタートですが,IBIS の本家本元オフィシャルである情報論的学習理論研究会が電子情報通信学会の第1種研究会というものに昇格しました.
名前も「情報論的学習理論と機械学習研究会」というように機械学習という言葉がついて,新しい枠組みでのスタートとなります.
6月に早速大々的に研究会が開催されるようです.
オーソライズされていくといろいろ小回りはきかなくなるなどのデメリットもありますが,もう細々とゲリラ的にやるようなのは許されないくらい分野として盛り上がっている証でもあると思います.

ibisml にはメーリングリストのほか,なんと twitterアカウントもあり,@ibismlをフォローするといろいろ情報が流れてくるようです. twitter にも最近すっかりなじんできましたが,私がフォローしている若い人たちのつぶやきを見ていると,ともかく元気ですばらしいというのを日々感じることができます. 生駒日記で超有名な @mamoruk さんのように,若いんだけど発言内容はどう考えても私などよりずっとしっかりした考えの人もおり,とても勉強になります.

さて,最後ですが,私自身も4/1付けで組織改編により所属名が変わり,産総研の脳神経情報研究部門からヒューマンライフテクノロジー研究部門というところに変更になりました. 研究グループ名は情報数理研究グループのままです.
日頃お世話になっている方々全員にご連絡することは不可能なのでこちらのブログにて告知させて頂きます.
ヒューマンライフというとなんだか人生設計みたいな響きですが(それゆえ英語名は単に human technology です),生命工学のほか人間工学や生活工学などを包含したネーミングです.
まあ名前はどう変わってもひたすらよい研究ができるよう精進するだけですので今後ともご指導の程よろしくお願いいたします.


応用数理書評など

台風一過、みなさまのところは被害等ありませんでしたでしょうか。

世の中では少し前に民主党の鳩山由起夫さんが首相になりましたが、鳩山さんは計数出身で、
知人からの情報によると卒論がかの南雲仁一先生の研究室で甘利先生が南雲研の
助教授だったときらしく、甘利先生のコメントが出ています (東京新聞記事
同じ学科を卒業しても進路は様々ですが、計数出身の首相と言うことで科学行政にも多少は明るい未来図を描いてもよいのでしょうか。

さて、カーネル本関係ですが、いくつか動きがありましたので報告します。

まず、岩波書店から出ている「応用数理」の2009年 9月号に今年 IBM からこれまた東大計数に移られた鹿島久嗣さん(=@kashi_pongさん)が書評を書いてくださっています。

注記1:ちなみに、人工知能学会に書評を書いてくださった井手さんもIBMで、IBMには足を向けて寝られません。 Thinkpad を愛用してきたのですが、今は Thinkpad を買っても IBM には貢献できないですね

注記2:それから、応用数理9月号に載るというのは前々から聞いていて、英語タイトルとかもこれのために考えたのですが、この雑誌は岩波発行ですが基本的に応用数理学会の会員に配られるもので、小さな書店にはなかなかなくて、産総研でも地質関係の図書室に今日やっと入ったのでこうしてブログを更新しているわけです

鹿島さんといえば特にグラフカーネル関係では世界トップレベルの研究者で、私よりはるかに若いですがカーネル法についても私よりずっと造詣が深く、そのような方の書評というのはむちゃくちゃ緊張して読みました。
が、大変好意的に書いてくださっており、ほっとしました。5章のカーネル設計の話は私は概略的なことしか書かなかったので、むしろ鹿島さんが本格的に別のどこかで執筆されるのを楽しみにしております。(すでに学会誌等ではいろいろ書かれていますが)


さて、次の話題はカーネル本の輪講について。
産総研でも少し前に私の近くで輪講してもらっていたのですが、ネットで検索していたところ、Rで学ぶクラスタ解析などで有名な新納浩幸先生の研究室で輪講していただいているようです。リンク:研究室輪講のページ
後ろの章の担当の方は結構きついと思いますががんばってください。


次にブログ関係。 いつも @shima__shima さんに教えてもらってばかりですが、twitter に流れていた記事をぼーっと見ていたら @y_benjo さんがブログに記事書いてくれていたのを見つけました。リンク:ゼミのちはじめてのカーネル法

リプレゼンター定理の2カ所の違いがよくわからないとのことでしたが、確かに大して違いないです。
ノルムの単調増加関数に一般化したのと、再生性の言葉を使って言い換えただけで、本質的には同じ証明です。
(もともと2章の方は証明がなかったのを編者の伊庭さんの suggestion で加えたのです。 伊庭さんに感謝)


さて、カーネル本は「確率と情報の科学」というシリーズですが、ときどき集中講義や非常勤で授業をしたりするときに感じるのは、線形代数や微分積分に比べて確率統計を知らない学生さんが多いということです。(かくいう自分もそうでしたが)

これは高校や大学で確率統計が選択科目になっていることが多いという背景もあると思います。
また、確率の概念が難しいという以前に、確率の記法のところで意外につまずいている人が多いということがわかったので、カーネル本のサポートページに「確率の記法」というページを作りました。
  (これは朱鷺の杜wikiに書くべきだったかな... でもまあどこに書いてあるかと言うことは今の時代あまり重要ではないですね)

あと、最後になりましたが今年の IBIS のポスタープログラムが出たようですのでここでもお知らせしておきます。

追記:今週末は産総研停電のためサポートページにアクセスできませんのでご了承ください。

御礼!第2刷発行

「カーネル多変量解析」の第2刷(2009年6月25日)が発行されました。
これもひとえに皆様のご愛顧のおかげです。 ありがとうございます。

第1刷で発覚した誤植はすべて修正してあります。
あと、最初の方の章で「定理」という名前はつけないで定理みたいな形で書いていた見出しが
節の見出しと紛らわしかったのを、体裁を変えて見やすくしました。

誤植のある第1刷が欲しいという方(そんな人はいない)は在庫が少ないと思いますのでお早めに。
また、第1刷は買ったんだけど、誤植があるのでイヤという方は是非第2刷をお求めください^^;

通信号特集号「大規模データ」&岩波本続刊「調査観察データの統計科学」

今日は2件あります.

1件目:
2009年7月号の電子情報通信学会英文誌D はこのブログでも何度か触れてきた
「学習・最適化における大規模アルゴリズム」小特集です.

目玉の一つは2本の招待論文です.
・1本目は鹿島,井手,加藤,杉山の4氏による大規模カーネル法のレビューで,赤穂本ではあえて詳しく触れなかった?カーネルの大規模アルゴリズムについて詳しく書かれています.岩波本サポートページでもこの論文にリンクを張ってお茶を濁そうかと...(こんなんばっかですが)
・もう一本はランダム最適化の分野でシンプルながら有効な手法として定評を得つつある swarm optimization のレビューを筑波大の亀山さんに書いてもらいました. 最適化の研究者にもちょっと使ってみようかなというユーザの方にもお楽しみ頂ける内容です.

一般論文は foreward にも書いてありますが,一般投稿論文17本中採択が論文3,レター1ということで,超難関低採択率になっております. 当然採択論文の質は高いわけですが,不採録判定の論文も相当ハイレベルでした. 分野ごとに査読規準の公平化が必ずしもうまくいかなかったかもしれませんが,これはひとえに幹事の私の責任です. でもこれは昨今の超厳しい国際会議やジャーナル論文などで最近よく耳にする問題点であり,そうやすやすとは解決できないでしょう.

2件目:
「確率と情報の科学」シリーズと銘打っていたものの長らく1冊だけで寂しい状態が続いていた岩波本ですが,ついに第2弾が出ます.

星野 崇宏著:
調査観察データの統計科学 ―― 因果推論・選択バイアス・データ融合 ――

で,岩波の新刊のページによると7月29日発売予定だそうです.
しばらく前から(岩波より先に^^)丸善などでは出ていましたが,e-honなどいくつかのオンライン書店で予約受付中となっています. 例の流通経路の影響か amazon に出るのは少し先でしょう.

私も草稿段階で読ませていただいたのですが,ある意味カーネル本とは好対照をなす本です.
目次を見ると,共変量シフトやセミパラメトリック,EMアルゴリズムなど機械学習になじみの深いキーワードが並んでいます(目次はまだあまり出回っていないので詳細は省略).
一方,中を見るとカーネル本と違い,さまざまな事例研究が紹介されており,社会調査などに関してうんちくがたまるような面白い話がたくさん載っています.

いずれにしても,これでやっとシリーズとして認知されそうなので,カーネル本が一般書店に出回る日も近い? (岩波は返本制でないので小さいところでは厳しいとは思いますが)

人工知能学会誌書評

人工知能学会誌24巻3号(2009年5月) p.457 に IBM基礎研の井手剛さんが
「カーネル多変量解析」の書評を書いてくださっています.
ブログとかを除くとちゃんとした形では(おそらく)これが最初の書評だと思います.

全文公開すると著作権に触れると思うので表題だけ:
1.機械学習の「ヤバい」教科書
2.電車で読めるリプレゼンター定理
3.読者に手をさしのべる配所が随所に
4.貴重な最後の2章

というわけで,こちらが恐縮するほどほめてくださっています.
(井手さんの文章そのものもすごく魅力的です)

井手さんは新進気鋭の機械学習の研究者で,こういう方にほめていただけると著者としても
ほっとします.(井手さんにはいくつか重要な誤植も指摘していただきました. 感謝)

話は量子力学の発展の話にまで及び,これで多少は販促につながるといいなと思います.
(人工知能学会誌の読者人数がどれくらいかわかりませんが)

ただ,やはりマニアックなのかまだ普通の書店では見たことないです.
街中の本屋さんを見ると,自己啓発本とか脳を鍛えるとか,整理法,勉強法の本が
山ほど並んでいます. 違いがほとんどわかりません...
というわけで拙著ももう少し一般に訴える宣伝を考えないといけないかもしれません.

先日冗談で出ていた販促案:

あなたもこれでやせられる! カーネルダイエット: カーネル本を全部理解するのは
大変なので読破する頃にはやせているでしょう.
○○ダイエットと名のつく本もたぶん効き目はこれと大差ないと思うのですがどうでしょう.
(いや,あくまで冗談でマジで受け取られると困ります)

さて,今週末は停電のためサポートページ等もつながりません.
このブログや朱鷺の杜Wikiは外部サーバーなので関係ありません.
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