朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

IEEE SSCI 報告

このブログでも宣伝しておいた IEEE Symposium series on Computational Intelligence (SSCI2007) に行ってきました。

ちなみに Computational Intelligence というのは IEEE の比較的新しい society で、従来の Neural Network, Fuzzy, Evolutional Computation という3つのソサイエティを統合させたものです(journal は3つ別々に出ていますが)。
というわけでこの3分野の人たちが入り乱れた上、バイオインフォやデータマイニング、ゲームなど12個のシンポジウムが並列で行われたわけですから、かなり発散したものになっていました。

参加する前は日本人がどれぐらいいるのか全然わからなかったのですが、招待講演のある銅谷さん、渡辺先生@東工大のほか、上田さん・村山さんをはじめとする NTT グループ、池田さん@京大など見知った顔がたくさんいましたし、産総研からも本村さんのほか相当来ていました。 Cichocki 先生とはじめてごあいさつしました。

私はバイオインフォとデータマイニングに出したのですが、結局日本人が多かった Foundations of Computational Intelligence (FoCI) に主に出ていました。 (ちなみにデータマイニングの方は手違いで First name と Last name が入れ替わっていました。 というわけで著者索引には Akaho Shotaro と Shotaro Akaho の二人がそれぞれ1件ずつ発表したことになっています)

期待していたのは FoCI のパネルで、日本からは Program Chair の一人でもある大森先生@玉川大が出て Computational Intelligence についていろいろなディスカッションがありました。 もう内容を忘れてしまったのですが、
・Computational Intelligence と Artificial Intelligence はどうちがうのか
・人間や生物の機能はComputational Intelligence の研究に参考になるか?
という禅問答のようなものが多くて、もうちょっと生々しく、この society が生き残るにはどうすればいいか、予算を取るにはどうするか、みたいな生々しい話がもっとあってもよかったかなと思いました。

「人間や生物の機能を参考にする」といういわゆる biology-inspired みたいな話は、最近 machine learning 系の学会ではあまり言われなくなりましたが、実は研究所の外部評価やらいろいろ外への説明では突っ込まれる部分なので理論武装しておく必要はあります。 ただ、このパネルでは「参考になるか?」という問いに、全員一致してイエスという答えだったので、誰かそれに対抗する人をパネルに入れて議論して欲しかったという気はします。

このように、Computational Intelligence というのは脳や生物を意識している意味で、machine learning とは違う、独特な雰囲気はあります。 ちなみに私の投稿した active learning を使ったバイオインフォの論文に対する3人の査読者のうち、一人は「この論文は Computational Intelligence ではない」ときっぱり書いてあったので驚いたのを覚えています。 

さて、もう一つの期待の招待講演は銅谷さん・渡辺先生・古川先生@九工大の3本立てでした。銅谷さんはお得意の強化学習のメタパラメータと脳との関連についてでした。実は直接話を聞いたことはあまりなかったので、結構勉強になりました。渡辺先生は特異点の話で、日本に渡辺あり!みたいな感じにさらに磨きがかかっていました。古川先生は SOM の発展系で、SOM が多様体の学習なら、それを拡張してファイバーバンドルの学習をしてやろうという話でした。しかし、微分幾何の用語を使っても、トポロジーとかを扱わないとあまり意味がないので、そのあたり何か発展があるといいなと思いながら聞いていました。

そのほか全体的な流れとして swarm optimization がやたらと流行っていました。 まあプログラムが簡単にできるので学生とかにやらせるにはいい題材なんでしょうね。 でも根本的に何か新しいというものではないように思います。

さて、最終日のバンケットで渡辺先生のところの永田さんが FoCI の Student award を受賞されました。交換モンテカルロ法の交換率の漸近解析に関する研究です。

というわけで、思ったより盛り上がった会議でしたが、いかんせんビーチまで数十秒というところでの会議で、昼間の参加者が微妙に少なかったのは否めません。

15日からはやはりホノルルでICASSPが開かれます。
その中の Geometric Optimization for Independent and Principal Component Analysis という special session で西森さんが Flag manifold を応用した complex ica の話をします(私は連名ですがさすがに行きません)。参加される方は是非お立ち寄りください。



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