朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

おすすめの理由・おすすめしない理由

発売日は昨日でしたが,Amazon では「この商品はお取り扱いできない」扱いされていたので
入手困難な状況でした. 現在やっと「在庫あり」になりました.

岩波のホームページでも「目次」,「まえがきより抜粋」が読めます.

本書の「おすすめの理由」と「おすすめしない理由」を考えてみました.

「おすすめの理由」
・気の利いた?クリスマスプレゼントを送りたい方へ
・年度末の予算を有効に?使いたい方へ
・サポートベクトルマシン以外のカーネル法についても知りたい人へ
・ビショップ本では物足りない(ビショップ本が高くて買えない)方へ

「おすすめしない理由」
・ビショップ本を買ってしまったので(あるいは株で損して)お金がない人
・理論なんか興味はなく,ソフトの使い方だけ説明してくれればいいという方
・個人的に著者が嫌い

なんかまだまだいろいろありそうなのでそのうちサポートページにページを追加しておこうっと.
それから,「カーネルむかしばなし」はカーネルの巻き返しの旅がはじまる予定です.
こちらも時間ができたら続きを書くつもりです.

さて,私のところには26日に岩波から送られてきて初の対面を果たしたわけですが,
統計科学のフロンティアのような表紙を想像していた私は,
全然違う雰囲気の表紙に最初ちょっとびっくり.
でも,よく見ているうちにこういうのも軽快な感じでいいかなという気がしてきました.
ベースは白で,そこに青い色ですっきりとしたデザインがされています.
詳しくはお手にとってご確認ください.
本を見ると統計科学のフロンティアと同じく蛯名優子さんという方の装丁となっています.

それから,確率と情報の科学のシリーズ一覧も出ています.
編者の一人の伊庭さんがならべかえたリスト:

多変量解析と因果推論――「統計入門」の新しいかたち 狩野 裕
データ解析のための統計モデリング入門 久保拓弥
調査観察データの統計科学――因果推論・選択バイアス・データ融合 星野崇宏
テキストモデリング――階層ベイズによるアプローチ 持橋大地
カーネル多変量解析――非線形データ解析の新しい展開 赤穂昭太郎
帰納推論機械:確率モデルと計算アルゴリズム 田邉国士
確率モデルのグラフ表現とアルゴリズム 池田思朗
符号理論と統計物理 田中利幸
確率モデルと知識処理 佐藤泰介・亀谷由隆
強化学習――理論と実践 石井 信
乱数生成と計算理論 小柴健史
マイクロアレイ解析で探る遺伝子の世界 伊藤陽一
生命のかたちをはかる――生物形態の数理と統計学 三中信宏
正定値行列の情報幾何――多変量解析・数理計画・制御理論を貫く視点 小原敦美・土谷隆
情報幾何入門――エントロピーとダイバージェンス 江口真透

どれも楽しみな本です.
著者の皆様執筆がんばってください(終わったものの余裕か^^;)
読者の皆さんお楽しみに(冊数が多いので予算をたくさん用意しておいてください)

少々追記しました. 【“おすすめの理由・おすすめしない理由”の続きを読む】
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カーネルむかしばなし (その1)

やっとAmazon でも予約が可能になったようです.
といってもイメージはまだありません(というか私もどんな表紙になるのかまだ知らないのですが...)

カーネルについて少し解説しましょう.
(ただし,このブログの読者はほとんど専門家でその必要はない人ばかりかも
しれないですが,サポートページから来る人もいるので)

カーネルというと検索エンジンでまずひっかかるのは OS のカーネルですが,
カーネル多変量解析のカーネルは OS のカーネルとは関係ありません.

もう一つカーネルというとケンタッキーフライドチキンの創業者?のカーネルサンダースさんが思い浮かびますが,これももちろん関係ありません.
(というか英語にすると綴りも違うようですが)

というわけでカーネルの由来に関する昔話をしましょう
(これは本には書いてありませんが)

むかしむかし中つ国にはリニア国とノンリニア国という二つの国がありました.
リニア国は歴史が古く格式ある国でしたが,力はだんだん衰えていました.
一方のノンリニア国は新興の強大国で,飛ぶ鳥を落とす勢いでした.

リニア国とノンリニア国の間には,より高い山に登った方が中つ国を支配できるという
取り決めがありました.
リニア国にはお椀型の比較的登りやすいけれども低い山しかありませんでした.
それに対してノンリニア国には険しくギザギザとがった高い山がたくさんあり,
中つ国はもっぱらノンリニア国によって支配されていました.

こうして,たがいに仲が悪かった二つの国ですが,あるとき,
リニア国のパラメータ王子とノンリニア国フィーチャー姫が恋に落ち,
パラメータ王子はフィーチャー姫をノンリニア国から連れ去ってしまいました.

二人の間に生まれた子供がカーネルでした.
カーネルはすくすくと育ち,聡明で運動神経も抜群の子供で,
今まで分の悪かったリニア国の人々の期待を一心に背負って高い山へと
挑戦しようとしていました.

ところが,姫を奪われた恨みを晴らすため,ノンリニア国はカーネルに
ディメンジョンの呪いをかけてしまいました.
ディメンジョンの呪いというのは,それはそれは恐ろしい呪いで,一見高い山に登った
かのように思いきや,実はそれはまぼろしで,下手をすると足下を失って転落してしまう
というものでした.
そのため,カーネルは思うように力を発揮することができませんでした.

(つづく...かな?)

ICANN2008報告

忘れないうちにICANN (Int. Conf. Artificial Neural Networks)@プラハ の報告をしておきます.

ICANN は 9 月のはじめで,岩波本がほぼ完成していた時期です.
(というか期日の関係でとりあえず完成ということにしたというほうが正確ですが)
でもまだ多数の修正箇所を残しており,まだまだ気が抜けるというところまではいきません.

ウィーン経由でプラハへ. 最近愛用のノイズキャンセリングヘッドホンで,狭いエコノミーのヨーロッパ便も楽勝です.
プラハははじめてですが,印象としては以前に行ったウィーンやブダペストと似ている感じ. ガイドブックもこの3つでいっしょになっているやつとか多いし...

会議はプラハ城近くのホテル. ちょうどユーロが暴落する直前で,出張旅費では足が出るほど高いホテル料金でしたが,なかなか豪勢なところでした.

会議の中身はパラレルセッションも多くてとても報告しきれませんが,機械学習系の会議がほかに増えてきたこともあり,ICANN での割合は相対的には減っているようです.

ただ,Chair の Kurkova 女史が関数近似関係の理論家なので,そのあたりは充実していました.
私が出したのは NC 研究会に出してずっと放置してあった混合分布の情報幾何的次元圧縮の話で,Kurkova と同じ Mathematical theory のセッションに入れられていました. このセッションは私を含め 3 件の日本人の発表があり,別名日本人セッションという噂でした. (ほかは伊藤嘉房先生と,渡辺澄夫先生のところの西山悠さん)
連名で発表した西森君の発表は私のセッションとパラレルの別のセッションだったので聞けませんでした.

日本から,甘利先生,福島先生,石川真澄先生といった大先生方のほか,石井信先生や小野田崇さんなど知り合いもたくさん参加されていて,はじめてのプラハの地も不安なく過ごせました.
甘利先生もまだまだ現役ですごいです.

さて,チェコといえばビールの発祥の地として知られています.
とても安くてビアホールでビールを飲んでも一杯安ければ200円以下で飲めました.
ユーロが安くなった今となってはもっと安く飲めるはずです.
しかもすごく美味しい.
食事関係ではそれほど美味しいとは思えませんでしたが,ビールは堪能できました.
ドイツやベルギーとはまた違う元祖の味という感じでした.

そういえば,ICANN のプロシーディングスは Springer の Lecture Notes に
なっているのですが,セッションごとのアルファベット順だったので,私の論文が
一番始めにはいっていたのはとっても目立ってラッキーでした.

「カーネル多変量解析」発刊予定!

本の宣伝です.

Amazon などではまだ出ていませんが,一部のオンライン書店で
予約可能となっておりますので書いておきます.

一部の方々はすでにご存じかと思いますが,岩波書店の
統計科学のフロンティアに続く新シリーズ「確率の情報と科学」の第1回目として
拙著「カーネル多変量解析 ―― 非線形データ解析の新しい展開 ――」が
11/27 に発売予定です.

とりあえずサポートページhttp://www.neurosci.aist.go.jp/~akaho/kernel/ も作ってみました.

内容はカーネル法の入門書ということで,サポートベクトルマシンだけではないいろいろなカーネル法の話や再生核や正則化といった話を広く浅くまとめました. シリーズの第1冊目ということでプレッシャーがかかりますが,シリーズをつぶさないくらいは売れてもらいたいと思っています.

それにしても,ともかく1冊まるまるの本を書くというのがこれほど大変とは想像以上でした.
100mしか走ったことがない人間がマラソンに初挑戦したという感じで,
途中はゴールが見えず精神的にもかなりきつい状態でした.
この辺りのことや本についての解説やサポートはこのブログでもぼちぼち振り返ろうと思いますが,今日はとりあえず発刊予定の報告ということで.

以下岩波書店HPからの抜粋です.

確率と情報の科学 甘利 俊一,麻生 英樹,伊庭 幸人 編

インターネットの普及や観測技術の発達により,大規模データが容易に得られる時代.これらのデータをいかに高速に正確に解析し,法則の発見や将来予測に役立てるか.まさに新しい統計科学の手法や考え方が求められている.好評「統計科学のフロンティア」につづく新シリーズ.話題のテーマをモノグラフとして丁寧に解説する.

「カーネル多変量解析 ―― 非線形データ解析の新しい展開 ――」 赤穂 昭太郎 著

カーネル法によるデータ解析は今や生命情報科学やデータマイニングの分野では標準である.しかし文字列やグラフ解析など別分野に適応できるように自身で設計しようとすると容易ではない.本書は,カーネル法という多変量解析の底に流れる基本的な考え方を紹介して,読者自身が設計を行う際の道標になるような内容をめざす.

書店へのリンク
Yahoo
セブンアンドワイ
紀伊國屋ブックWeb
e-hon


ibis2008報告

IBIS が終わった後連休だったので報告も遅くなりましたが,
忘れてしまう前に書いておきましょう.

なお最初に書いておきますが,
電子情報通信学会「学習と最適化のための大規模アルゴリズム」小特集
の締め切りも11/28に近づいておりますので告知しておきます.
IBIS 参加のみなさま積極的にご投稿お願いします.

さて,今年のIBISは杜の都仙台ということで,朱鷺の杜とも一応「杜」つながりです(無理矢理ですが).
仙台は食べ物もお酒も美味しくてついついそちらに気が行ってしまいます.
初日に知り合いの集団で牛タンたらふく食べた後Fさんと日本酒の店で二次会,二日目は懇親会をさぼってスペインバルでイベリコ豚の生ハムとワインを堪能したあとイタトマで研究の打ち合わせをするなどアフター充実でした.

もちろん昼間の会議も思ったよりずっと盛況で,座る席を探すのに苦労するほどでした,

前日にはセンサネットがらみで多端子情報理論のチュートリアルがあったのですが,
所用のためどうしても参加できず,後から聞いたら相当濃い内容だったようで,返す返すも残念でした.

さて,IBIS本体の方は開催案内のときにも書きましたが,今年は東工大の杉山さんを中心とした若手による新たな試みがいろいろありました.

まず,全部ポスター発表でオーラルはオーガナイズドセッションのみという構成.
これはかなり成功したのではないでしょうか.
ただ今後のためにあえて以下に問題点も指摘しておきます.

・まず最初に予稿集をなくしたのは,結果的にはデメリットの方が多かったと思います.
私は理解が遅いので,話を聞いたりポスターを聞いたりした後じっくり復習しないととてもわかった気にはなれません.
それに,後で「確か IBIS で聞いたな」というようなのを思い出しても,それを引くことができません.

ただし,予稿集をやめるメリットもいろいろあります.
--まず,IBIS なんかではなくもっとちゃんとした国際会議なりジャーナルに出せというメッセージでもあると思います (これはちゃんと論文にしない自分にとって反省すべき点です).
--それに予稿集をなくしたので発表件数も増えました (そもそも研究発表のみならず研究者間の出会いの場の提供という側面ではこれは成功でしょう).
--あとは,予稿集を作るのが大変というのもありますね (神経回路学会全国大会で予稿集を作ったときはいろいろ大変でした). お金だけで済めば安いのですが,pdf のチェックやら目次の作成やら結構手間がかかるものです. 通信学会の研究会などのように専門の人がやってくれて自動的に済むものならいいですが.

もう予稿集は作らなかったので,この辺の議論は今年については後の祭りですが,できれば,ホームページの方に,「このネタはここで発表しました」みたいなリンクを後からでも著者が付けられるようになればいいなと思います. (くりかえしになりますが通信学会特集号への投稿もよろしく)

・それから,会場の関係でポスターセッションがせっかく盛り上がっているところを5:30で打ち切られたのは残念でした(でも自分のポスターに関してはあまり長いと疲れてしまうので打ち切りは助かった面もありますが). 発表の中身が濃いので,見たかったのに見られないポスターがずいぶんありました. その意味でも予稿集があるとありがたかった.

それと関連して,お昼休みが少々短かった. 仙台に詳しいW大のHさんに美味しいお店に案内してもらったのですが,そこまで行って帰ってくると1時間のお昼休みではちょっと厳しかったです.
(お昼ご飯は食べない主義のKさんにとってはちょうどよいのかもしれませんが )

・オーガナイズドセッションですが,幅広い分野にわたって非常によくオーガナイズされていたと思います.
が,逆によくオーガナイズされていたがゆえに,観客が落ちこぼれないように内容が少々薄っぺらだったという印象です.
IBIS というと,トークの最後の方は何言ってるのかまるでわからんけどすごいというのが今までの伝統?で,それについていけるところまで必死でついて行くというのが快感みたいなところがあったと思うのですが,そういうのは希薄でしたね.
こんなの求めてるのは私だけかもしれないですが. (ただし多端子のはこういうノリだったようです)

というわけでいろいろ問題点も書きましたが基本的には非常に盛況で楽しいワークショップでした.
実行委員のみなさまお疲れ様でした.

私は運営には絡んでいないので伝聞ですが来年は九州方面との噂です.
また来年お会いしましょう.

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