朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

R と matlab

しましまさんから岩波本感想 audioswitchさんブログ を教えてもらいました.
わかりやすいと書いてありホッとしました.
その上森北本まで宣伝していただいています.
それにしてもしましまさんの情報収集能力はすごい.

それから,誤植情報もサポートページにて更新.
最近藤木さんや村田さんと共同研究しているメンバーの日野英逸さん@村田研さんが
たくさん誤植を発見してくれました. 感謝.
結構すごく基本的なところの誤植もあり,当たり前のところは校正でも結構スルーして
読んでしまっていたんだなと反省しました.

さて,今日の本題はカーネル法のプログラムについて.
岩波本では R 上の kernlab, matlab 上の spider, それから多様体あてはめでは
matlab 上の mani というパッケージを参考にしています.
ただし,表示はあまり印刷向きじゃなかったりするので自前で作りました.
やっつけ仕事でやったのでそのまま公開するには恥ずかしいので,多少整理したり
改良を加えてからサポートページに載せようと思います.

R と言えば,最近は解説書も雨後の竹の子のようにいっぱい出ています.
Amazon でも勧められてついつい買ってしまいます.
私が R の元となっている Splus を使っていた頃はこんなに広まるとはちょっと想像してなかったです.

そもそも最初に S という言語を知ったのはまだ学生の頃で,広津研の助手をしていた栗木哲さん(現統数研,もしかするとその前の椿広計さんかも)が演習かなんかのときに紹介していました.
その頃は統計なんかたいして興味もなかったのですが^^;プログラム言語好きだったので
なんとなく記憶していました.

その後電総研に入って,研究室の Sun のワークステーションに S が入っていて(栗田さんか麻生さんが入れていたと思う),
いろいろ触っているうちに,これは便利な言語だと思ってすっかり S/Splus フリークになっていました.
ただし,その頃はやはり計算機がまだ遅かったのであまりヘビーなシミュレーションとかは C でやっていました.

電総研から産総研に変わる頃,ICAの研究をかじっていたのですが,ICA では理研のグループを中心に matlab が全盛でした. というわけでしばらくしてお金ができたときに matlab を買って,それ以降は matlab の方がメインになっていきました.

そんな中で R が現在のようにポピュラーになってきたので,また2-3年前に再び R も使い始めたというところです.
フリーソフトウェア(もしかするとこの言い方は不正確かも)の割に Splus にひけはとっていないし,コミュニティも充実しているのが人気の理由でしょうか.

まあ R も matlab もそれぞれ長所短所があると思うのでその辺りの比較論議もやっていきたいですね.

というわけで今日はこの辺で.
カーネルむかしばなしも続きをどうするか悩みどころなのですが,まあどうせお遊びなので,お正月休みにぼちぼち考えようと思っています.
# っつーかその前に大量の査読の山を少しは減らさないと^^;;;

たぶんこれで年内のブログ更新はないのでごあいさつ.

岩波本をたくさんの人に買っていただき感謝いたします.
みなさまよいお年をお迎えください.

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カーネルむかしばなし(その3)

Amazon のランキングなどを見ると,おかげさまで比較的よく売れているようで
著者としてはうれしいです.

ただし,私自身はまだ本屋さんに並んでいるのを直接見ていないので,
売れているのは Amazon だけかと心配にもなります
(目撃情報として K 大生協にあったという話は聞きました.
しかし非常勤をしている W 大理工の本屋にはありませんでした;;)

あと,Amazon だとなぜか
 本 > 科学・テクノロジー > 数学 > 微積分・解析
に分類されています.
(ひょっとして多変量「解析」だから? うーむ.
まあヒルベルト空間だから関数解析には関係あるんでしょうけど)

さて,どんどんマニアックになっていくカーネルむかしばなし第3弾です.

→第1弾
→第2弾

ベイズ国は海を渡ったプロバビリティ大陸にありました.
カーネルと魔法使いティホノフの二人は船に乗りこみました.

「これから行くベイズ国とはどんな国なのですか?」

「プロバビリティ大陸の中でも古い国の一つじゃ.
昔はフリークエント国と何度も戦争を繰り返しておったが,
今は平和条約を結んで落ち着いておる.
わしもしばらく行っておらんが,最近ではいろいろな国の種族が入って
とても強大な国になっているという噂じゃ」

「そんな国に行って大丈夫でしょうか」

「わしがついておる限り大丈夫じゃ.
カーネルよ. そんなに弱気になるでないぞ.
おまえはポジティブに考える家系に生まれついておるのじゃからの.
ほら,おまえが持っているレギュラリゼーションの書のこのページにも,
『カーネルはポジティブデフィニットなり』
と書いてあるではないか.」

「あっ 本当ですね. わかりました.」

そんなことを話しているうちに,船はベイズ国の港に入っていきました.

「ティホノフさん,あの高いピラミッドのようなものはなんですか?」

「ああ,あれはベイズ国の神殿じゃよ. ベイズ国ではベイズ教が信じられており,
あの神殿にはベイズフォーミュラという御神体がおさめられておる.
ベイズ教はなかなかよい教えじゃが,まだ子供のおまえには影響力が強すぎる
かもしれんな. だがわしがついておれば大丈夫じゃ」

こうしてカーネルとティホノフはベイズ国に上陸しました.

カーネルは初めて外国の地を踏んだという興奮がおさえきれません.
ベイジアンネット空中サーカスを見たり,人気の中華料理店インフィニットミクスチャ
やインド料理のバフェなどでたらふく美味しいものを食べてすっかり観光気分です.

「カーネルよ.楽しむのもよいが浮かれすぎるでないぞ.
われわれはこれから古都ガウシアンに向かうのじゃ」

「ガウシアンは両親から名前だけは聞いたことがあります.」

「そうじゃろう. ガウシアンとリニア国は古代の昔から深い関係があるからのう」

二人はほどなくガウシアンに着きました.
ガウシアンの街を歩いていると,人々が驚いたような様子で二人を見ています.

「みんななぜわたしたちを見ているのでしょうか」

カーネルがそう言いかけたとき,カーネル自身信じられない気持ちになりました.
なんとカーネルにうり二つの子供がこちらに向かって歩いて来るではありませんか.
ただ,着ている服はプロバビリティ大陸特有のものでした.
その子供は二人に話しかけました.

「わたしはガウシアンのプロセスというものです. 街のみんなの話を聞いてやってきました.
あなたがたはどなたです?」

「わしが答えよう. これはリニア国から来たカーネル,そしてわしは魔法使いの
ティホノフじゃ. リニア国を救うために旅をしておる.
ガウシアンのプロセス,そしてカーネルよ.
おまえたちはある意味双子のようなものなのじゃ.
それもカーネルの持っているレギュラリゼーションの書に書いてある.
プロセスのもっている知識がきっとカーネルの役に立つに違いないと思ってここに来たのじゃ.」

「それはようこそいらっしゃいました.長い旅でお疲れでしょう.
うちでしばらくお休みください」

プロセスとカーネルは子供同士すぐに打ち解け,いろいろな話をしました.
カーネルとプロセスは姿だけではなく食べ物の好みなどもそっくりでした.
また,カーネルが覚えたレギュラリゼーションの呪文は,ベイズ国では
神官のみに許されたプライアと呼ばれる秘伝の一種であることもわかりました.

「ティホノフさん,プロセスに会って私の力もアップしたように思います.
プロセスの言っていたプライアには,呪文の強さだけでなく,ハイパーパラメータとかいう
ものを使ってもっと複雑にコントロールできるのもあるそうなのですが...」

「カーネルよ. 複雑であればよいというものでもないぞ.
下手をすればノンリニア国が陥った過ちを繰り返すことになる.
おまえはとりえあず最も簡単なクアドラティックレギュラライザーの呪文に
磨きをかけることじゃ. クアドラティックレギュラライザーにはまだおまえの
知らぬ秘密が隠されておるのじゃ. 今日はもう遅い.
この話はまた明日話すこととしよう. わしはもう寝る.」

カーネルはプロセスから聞いた話や,今ティホノフが言った言葉について考えている
うちに眠りに吸い込まれていきました.

(ベイズ国後編に...つづいてもいいのか?)

カーネルむかしばなし(その2)

ごくごくマニアックな一部の方に期待していただいている
カーネル多変量解析発売記念?カーネルむかしばなしの第2弾を
東京から帰るつくばエクスプレスの中ででっちあげました.
あまりひねりがないのですが,まあ楽しんでいただければと思います.

→第1弾はこちら


あるときカーネルの前に怪しげな老人があらわれました.

「わしはこの中つ国ができる前からこの地を見守ってきた魔法使いじゃよ.
わしはいろいろな名前で呼ばれておるが,とりあえずティホノフと名乗っておこう.
わしが来たのはほかでもない.
おまえにこの『レギュラリゼーションの書』をさずけるためじゃ.
この書はディメンジョンの呪いを解くのに役に立つものだ.
ともかく最初のページにある呪文を読んでみなさい.」

カーネルは半信半疑ながら最初のページに書かれた呪文を
唱えてみました.

「ク...クアドラティック レギュラライザー」

すると,今まで見えていた幻の山が消えかかったような気がしました.

「もっとはっきりと大きな声で!」

そこで今度はどなるように同じ呪文を唱えました.
すると,今度は幻の山はすっかり消えたものの,逆に今までリニア国にあった
山よりも低い山になってしまいました.

「ティホノフさん,こんな低い山では私の国は救えません」

「うむ. この呪文はちょうどよい強さで唱えねばならん.
訓練をすればちょうどよい強さの調整もできるようになるわい.」

カーネルはこのティホノフと名乗る魔法使いからもらったレギュラリゼーションの書
をパラパラとながめてみました.
最初の方こそリニア国の言葉で書かれてありましたが,途中からはちんぷんかんぷんで
何が書いてあるのかまるでわかりません.

「... ティホノフさん,この本にはいったい何が書いてあるのですか?」

「いろいろなことが書かれておるが,大切なのはカーネル,おまえのもつ秘密が
書かれているのじゃ.
これからいろいろな国を旅して修行を積み,さまざまな敵や仲間との出会いを通じて
この本に書かれていることをおまえ自身の力で明らかにするのじゃ.
そうすればおまえの真の力を発揮することができるようになる.」

「それでリニア国は救われるのですか?」

「もちろんじゃ. しかしおまえが救うのはリニア国だけではないぞ.
ノンリニア国とてもおまえに救われることになるのじゃ.
まあそれは先の話だが.」

「しかし,私一人だけで出てくる敵に立ち向かえるでしょうか?
いただいた書の最初のほうだけしか読めないのに...」

「心配するな. わしも一緒についていってやる」

カーネルはこの調子のいい魔法使いに少々不安を抱きながらも旅に出る決心を
しました.
魔法使いとお城に行き,このことを父親のパラメータ王子と母親のフィーチャー姫に
伝えに行きました.

「おお,これはティホノフ様. お久しぶりでございます」

「うむ. 久しぶりじゃな.わしはこれからカーネルを連れて旅に出る.
おそらく旅先には困難が待ち受けているが,リニア国に戻ってきたあかつきには
カーネルはりっぱにこの国を救うことになろうぞ」

カーネルは,多少胡散臭いイメージを抱いていた魔法使いが両親の知り合いだったことを
知って,安心してついていくことにしました.

「それでは父君,母君,ご心配なきよう.
ティホノフさん,最初はどちらに向かいましょうか?」

「そうじゃのう. とりあえずベイズの国にでも出かけるか」

こうしてカーネルと魔法使いはリニア国を旅立っていきました.

(ベイズ国編につづく...かも)

産総研停電中にて,執筆活動を振り返る

タイトルにあるように,年に2回の産総研停電のためサーバーが停止中で,
岩波本のサポートページもつながりません.
本を買っていただいた方で
「つながらないじゃないか」
とお怒りの方がおられるかもしれませんがご容赦ください.
(ただし読者の少ないこのブログでこれを書いても意味があるのかどうか)

通信学会の特集号の方も12/4まで締め切りを延長し(このブログで広報するのを忘れた),多数の投稿をいただきました. ありがとうございました.

それにしても本を書き終わったので暇になるかと思いきや,たまった査読の催促やら,上記特集号の雑用やらで全く息つく暇なしです.
それでも本を書いているときのプレッシャーに比べれば軽いものです.
査読は食べ物にたかるハエのように次から次へとやってきますが,
まあ多少締め切りを過ぎても(多少ではないという説もあるが^^;)そんなに困らないという話もあります.
ただ,国際会議や論文誌も特集号なんかは締め切りが厳しいので,そうなるとハエと言うよりは論文がピラニアに見えてしまいます... (骨だけにしないでくれー)

それに比べると,本を書いているときは,まさに借金取りに追われている心境で,返しても返しても元金が減らない苦しさがありました.(「今日はこれだけで許してください.明日までになんとかしますから」)

あるいは24時間テレビで100kmマラソンを走らされている芸人の心境という方が近いかもしれません.
完走すればそれはすばらしいということはわかっているのですが,
果たしてゴールできるのか全く先が見えない状態.
足はガクガク,青息吐息でもうフラフラ. それなのにリタイヤできない.
その上できれば放送時間中にゴールしたい.
そんな状態が1年以上続いていたと思えば,精神的には今はぐっと楽です.

さて,かみしまさんに岩波本の書評を書いたブログがあると教えてもらいました.
ここよりはずっと読者も多く,ずっと有名なDO++さんのブログです.
おおむね好意的な感想で少し胸をなでおろしております.
著者の意図もかなりくみ取っていただけているようでうれしいです.

「様々な解説記事で定評のある」というところは,某氏に草稿段階で,
「解説記事をたくさん書いている悪いくせが出ている」
と指摘された部分でもあります.
雑誌に数ページ解説を書くのと本を丸一冊書くのとではえらい違いということが身にしみました.
某氏の指摘のおかげで悪いくせの部分は多少直っているとは思いますが.

もともと,構想段階でどんな本にしようかと思ったときに思ったこと:
・とっても売れているらしい「サポートベクターマシン入門」なんかとは違う本にしたい.
 さらにビショップ本なども出てきて,ほかの本にはない特色を入れたいと思いました.
 従って「他の和書ではあまり見たことがない内容が多く」とDO++さんに書いていただいたのは
 一応の目的は達したことになります.
・多少マニアックでも自分のために書こう(トールキンも自分のためにホビットの話を書いたらしいので)

ただし現実的な問題として,
・ページ数の制約などは結構きつい(それでもあれだけの分量まで増やすのはすごく大変でしたが)
・あまり独りよがりだと全く売れない(最初は現在の6章が2章でした^^;)
・一人でなんでもかんでもやるのは大変(ビショップのようにお山の大将で部下に TeX 組みや図表作成をやらせられれば楽なのでしょうが...)

という辺りが最初の頃は最も大変でした.
終盤には別の苦労があるのですがそれはまたいずれ別の機会に.
...というか本を書いている人でここまで愚痴っている人は見たことないなあ^^;;;

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