朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

カーネルむかしばなし(その4)

今年度最後の講義でW大に行ったら岩波本が3冊置いてありました.
書店に並んでいるのを見るのは初めてです.
北関東最大?の売り場面積を誇るイーアスつくばの本屋でも見たことがないので,
ひょっとすると北関東の本屋には存在しないのではないのでしょうか.
ビショップ本は産総研生協にも筑波西武の小さな本屋にも売っていましたが...

さて若干手詰まり感のあるカーネルむかしばなしですが第4弾をお送りします.

→第1弾
→第2弾
→第3弾

ティホノフはカーネルに言いました.

「おまえは父親のパラメータと母親のフィーチャー姫がどのようにして
おまえを作ったか知っておるか」

「よ,よく知りませんが...
ティホノフさん,いきなり18禁の話題でも大丈夫でしょうか.」

「心配ない. 『レギュラリゼーションの書』の読者は間違いなく18歳以上じゃからの.
それにおまえもゼットカイのカンブンポーキソで勉強していたじゃないか.
しかしそんなことはどうでもよい.
リニア国では子供を作るのはインナープロダクトというやり方に決まっておるのじゃ.
すなわち『中で掛け合わせる術』じゃな.
ガウシアンでは『子バリアンス』とも呼ばれておるからプロセスに聞いてみるとよいぞ.」

「インナープロダクトは友達のヒルベルトに聞いたことがあります.」

「おお,ヒルベルトと知り合いか. やつはファンクションスペース界の妖霊で,
インナープロダクトの秘伝を受け継いでおるからのう.
すでにおまえも知っておろうが,妖霊は恐ろしいものじゃから,話をするときは
ペンタクルの外に出ないようにしないとあっちの世界に引き込まれてしまうから
くれぐれも気をつけろよ.」

「それは承知しております.
ところでティホノフさん,私は両親のどちらにも似ていないような気がするのですが,
私は本当に両親の子供なのでしょうか」

「一見するとそう感じるかもしれんな. おまえが掛けている眼鏡を外してみるがよい」

カーネルは小さいときからなぜか掛けさせられている眼鏡を外してみました.
すると,自分自身の中に母親のフィーチャー姫の姿が隠れているのが見えました.

「どうじゃ. その眼鏡はカーネルトリックの眼鏡と呼ばれておる.
おまえの体は実はフィーチャー姫とフィーチャー姫がインナープロダクト
をしてできたものなんじゃよ」

「えっ,それってひょっとしていわゆる単為生殖ですか?
そうすると,父親から引き継いでいるものはないのでしょうか」

「そうあわてるでない.
おまえの一つ一つの細胞は確かに母親のものじゃが,その細胞をどう組み合わせるかは
父親からちゃんと受け継いでおるのじゃ」

「それを聞いて安心しました.
でも,なぜカーネルトリックの眼鏡が必要なのでしょうか.
私には眼鏡を外した方がリニア国の人間らしい姿に見えるのですが...」

「ディメンジョンの呪いが強いときにはカーネルの姿でいる方が防御になるのじゃ.
だから,敵が襲ってくる可能性があるときはその眼鏡は外してはならんぞ」

「わかりました.
しかし眼鏡をかけたままでも子供を作ることができるのでしょうか.
カーネルの姿ではどうやってインナープロダクトすればよいのかわかりません.」

「そこが肝心なところじゃ.
おまえはおまえ自身とインナープロダクトをすることによって子供を作る.
そういう意味でおまえは母親と同じ能力を持っているのじゃ.
しかし,おまえが特別なのは,おまえがインナープロダクトしてできた子供は
おまえ自身になるということなのじゃ.
これこそカーネル,おまえがリプロデュース王朝の真の後継者である証なのじゃ」

カーネルはなんだかきつねにつままれたような気持ちになりました.

「わたしはいったいどれが本当の自分かわからなくなってしまいました.
リニア国のパラメータとフィーチャー姫の子供なのか,ポジティブな脳天気人間か,
ガウシアンのプロセスの双子なのか,それともそのリプロデュース王朝の末裔なのか...」

「すべてが本当のおまえじゃよ.
全く同じものでも見方によって全然違うものになるというのは世の中にはよくあることじゃ.」

「なんだかよくわかりません」

「ちゃんと理解するにはもう少し修行が必要かもしれんな.
じゃがそもそもこの世界は例え話の世界じゃから,この辺りが限界なのじゃ.
おまえが何者であるかは『レギュラリゼーションの書』の 6 章の最初の図に
書いてあるからよく見ておくがよい.
さて,これでおまえ自身についてはかなりわかったじゃろう.
次からはいよいよ敵と戦う術について教えてやることにしよう.
今日はずいぶん頭を使ったから酒でも飲んで寝ることにしよう.」

「ティホノフさん飲んで寝てばかりいませんか?」

「そんなにあくせくしてもしょうがないぞ.
世の中に流されずのんびり構えていることも大事なことじゃ」

(ベイズ国とはあまり関係なかったなあ...つづきはいつになるやら...)

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神経回路学会全国大会備忘録など

今日は神経回路学会について書きます.

機械学習と現在呼ばれているものの源流の一つはニューラルネットといってよいでしょう.
会議で言えば NIPS,研究者で言えば Jordan や Bishop, Hinton といった
人たちももともとニューラルネットに主軸を置いていました.
(なお,甘利先生もそうだと思いますが,甘利先生の場合守備範囲が広すぎるので
ニューロを主軸と言うには少し抵抗があります)

現在,NIPS を見ればわかるように,ニューロという名前はついていても
内容は機械学習や統計の広い範囲までカバーしています.
これは実はもともと
「何の役に立つか分からないけど面白い理論的な話」
として,連想記憶の解析や汎化理論などがとりあえずほかに出すところもなくて,
とりあえず学習だからニューロの会議にでも出すかというノリでいろいろ
集まっていました.
かつてはそういうものを受け入れる懐の深さみたいなものがありました.
EM アルゴリズムや SVM, ICA なんかもニューロから広まっていったように思います.

ただし,ほとんどニューロと関係があるのかどうかよくわからない話がはびこりすぎた
反動で,あまりに理論的なものは排除する動きが一時期あったのも事実です.

その後データマイニングなどで機械学習が注目されたり,CDMA に連想記憶の理論が
使えることがわかったりすると,神経回路学会も再びそうしたものを受け入れるように
なってきました. 最近ではブレインマシンインタフェースや神経スパイクの統計解析
のように脳と関係のある統計的な手法も多く見られるようになってきました.

機械学習系の会議なども増えてきたので私自身は神経回路学会にはあまり出ていなかった
のですが,なんとなく自分の原点というかふるさとのようなものと思っています.
外国の会議も ICANN, IJCNN, ICONIP などに出すことが多いです.

# ただ,神経回路学会=ニューロというとらえている人が多いのも事実でしょうね

神経回路学会も20周年ということで,いろいろ企画も進められているようです.
また,関係者の方々のご尽力で学会誌も一部オンライン化され閲覧可能になりました.(巻頭言などはこちら
非常にクオリティの高い解説なども見られるので,是非アクセスしてみてください.
これによってサーキュレーションもよくなったと思いますので,論文もどんどん投稿してください.
(編集長の篠本先生@京大が非常に熱心で査読期間も短期間です)

さてここからは,昨年9月に開催された全国大会@つくばの備忘録です.
岩波本で精神的にはゆとりはありませんでしたが,なんとか無事こなせたと思います.

私は実行委員の中で広報係を仰せつかりました.

まずはweb ページの作成・管理. これは pukiwiki 設置で超手抜きですませました.
(ただし cgi などの制約が強かったので投稿システムは別に仁木さんが苦労して設置しました)

あとは,ポスターをイラストレータで作成し,印刷していろいろな先生に送付.
これはネットの印刷屋さんを使用しました.
ちなみに,ポスターで使った筑波山の写真はインターネットで著作権フリーになって
いるものです.

それからプロシーディングスの作成をしたりしました.
さすがにネットの印刷屋さんでは細かいところまで対応できなさそうだったので,
こちらはつくばの印刷屋さんに依頼.
印刷関係の打ち合わせなど,はじめての経験をいろいろしました.
ただ,岩波本の執筆のために入れた海外出張(あるいは逃避のための出張?)
などで不在がちだったので他の実行委員の方々にご迷惑をおかけしました.

さて,全国大会当日.
TX で便利になったという錯覚があったのか,予想以上の参加人数.
# つくば駅からのアクセスがこんなに悪いとは思っていなかったのでしょう.
結果敵に準備したプロシーディングスが足りなくなり,途中から事前登録者以外は
プロシーディングスなしの割引価格ということになりました.

それから,参加者のみなさんは意外に晩ご飯を食べるところで苦労していたようです.
参加者の方々に配ったグルメ情報は古いものだったようで,私も
篠本先生に古い情報を教えてしまってしばし路頭に迷わせてしまったようです.
前日で懲りたのか,翌日開かれた懇親会には予想以上の参加者が...
多くの先生から示唆あふれるコメントをいただき感激しました.

さて,会議の内容ですが,岡田研@東大から NIPS に通った2件の発表も含まれており,非常に
レベルの高いものでした. 招待講演も非常にインパクトのあるもので,上記のような
私の不手際を除いて会議は大成功でした.
なお,プロシーディングスは大会ホームページのプログラムのところからアクセス可能ですのでご興味のある方はごらんください.
# と思ったらまだパスワードが必要だった. 連休明けにでも確認してパスワードを外します.

以上なんだか書くことがたまっていたのですごく長くなってしまいました.
最後まで読んでいただいた方ありがとうございました.

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

さて、お正月休みは(ある程度予想はしていましたが)寝正月でした。
昨年のお正月は夜なべして本を執筆していたので許してください。(正月休みに40ページの原稿を100ページにまで増やしたのでした)

片付けようと思っていた査読も大して減らず年越ししてしまいました。
# しかしやっぱりどう考えても査読引き受けすぎだwww
# もう何を頼まれているのか全部把握しきれないwww

岩波本の売れ行きもお正月休みの間はがくんと落ちていたようで、まさに大学・企業関係者
ばかりが買っているというのが明らかに... (当たり前だ)

近所のおばさんとかに買ってもらうにはやっぱり「カーネルむかしばなし」みたいな話も入れないと
だめだったかな。 (それでも買わんと思う)

誤植を指摘してくれた早稲田の日野さんに「赤穂さんはファンタジーオタクですか?」と聞かれて内心焦りました。 うーむ、私のファンタジー歴は rogue と nethack を卒論・修論の時やりまくり、後は本でしょうか。
まあカーネル多変量解析執筆にあたって指輪物語を意識したことは確かです。 (かけらもわからんが)
というわけでトールキンがホビットについていきなり詳しく書き始めて多くの読者を挫折させたのに習って、
現在の6章をはじめに持ってきたのですが、それはほとんどすべての読者を挫折させてしまうと
言われて泣く泣く後ろに回したものです。

しかし上述の日野さんは6章と7章が読みたくて買ったと言っていたので世の中は広いものです。

さて、ジュンク堂書店さんのページを見ると、なんと22冊在庫ありとあります。 しかもこれは私の記憶によれば年末から変わっていないです。
ジュンク堂さん、私の本を買い取ったおかげで経営危機に陥ったらごめんなさい;o;

というか著者としては22冊平積みされているのを見てみたいのですが、いかんせん、池袋には行く用事がないのです。 誰か立ち寄ったら写真を撮って送ってください。

というわけで正月早々中身のないブログを書いてしまいましたが今年もよろしくお願い申し上げます。
結局サポートページもほとんど更新していないし、カーネルむかしばなしもほとんど進んでないのでした。 期待してくださっている方々ごめんなさい。

(独り言:一応岩波本に分類してみたがやっぱりこれはただの雑談だな)

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