朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

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IBIS2009報告2「企画セッション編」

さて、IBIS2009企画セッション編です。
若いPCメンバーが魅力のある7つのセッションを企画していました。
企画セッションは事前にいろいろな調整が必要でなかなか大変だったと思いますが、
みなさんご苦労様でした。

以下、打ち合わせをしたりして必ずしも全部は聞けなかったので、かいつまんで感想を書きます。

・金融時系列
個人的にはなんとなく聞いていたコピュラの紹介がわかりやすくてよかったです。
演者の吉羽さん@日銀は伏見研OB会で何度かお会いしたことがあります。
(私は伏見研OBではないですが)

極値統計は主に一次元のときの場合の話の紹介で、途中からかなり飛ばし気味でした。
まあ細かい式は後で復習すればよいのですね。 ただし、大阪の年最大風速の解析の結末というか
オチがもう少し知りたかったです。
後で伊庭さんから多次元の話が熱いみたいなのを聞いたので、今度機会があれば統数研で
毎年やっているらしい公開講座も聞きにいきたいと思いました。

・音声・音響処理
興味のある話題だったのですが打ち合わせのため、まるっきり聞けませんでした。
すみません。資料を読んで自習したいと思います。

・化学構造
バイオインフォで有名な阿久津先生の、主に木構造などのグラフ構造の編集距離の近似計算の話。
計算量とかをバウンドするテクニックとかに、ただただ「はーーー」と感心して聞いていました。
カーネル的には最後の方に話されたpreimage (特徴写像の逆写像)の問題が応用上も重要だし、まだよくわからないことが多いなあと感じています。
岩波本には preimage の話はまるで書かなかったのでいつかサポートページに書いておくつもりです。(いつのことだか^^;)
化学物質だと創薬とかお金に直結するような話もあるようですが、その分難しいのでしょうね。

・疎グラフ上のダイナミクス
一時期は IBIS の一大勢力だった統計物理の話も今回は少な目の印象でした。
最初に三村さん@広島市立大が導入として頂点被覆問題を中心としたいろいろなアプローチの比較。

一宮さん@京大は経路積分法のチュートリアルで、とても話はわかりやすかったのですが、結局
ランダムネットワークでも蔵本転移が起きるということだったので、素人的には現象として
何か違いが出るような例があるといいなあと思いました(聞き逃しただけかもしれません)。

最後の上江洌先生は cavity 法で免疫系のダイナミクスを解析した話で、解析法の説明はわかりやすかったのですが、当初の免疫系との絡みがよくわからなくなりました。 単に自分の能力不足です。

・ランキング
前に NEC で山西さん@現東大たちと一緒に研究されており、現在マイクロソフトの李さんが順序学習のレビュー。これはしましまさんの専門分野で最後に厳しい突っ込み入れてましたね。

・パターン認識の新潮流
グラフカットの研究で著名という石川先生の話。石川先生とは一緒に食事もさせていただきました。
内容はグラフカットではなく、パターンのように連続的なものに対してコルモゴロフ複雑度を拡張しようという試みの話。
冒頭で既存のコルモゴロフ複雑度に対するアンチテーゼとして話を持っていったため、竹内さんが
最後に突っ込みを入れていましたが、話自体は面白いアプローチでした。
ただ、現実問題として、連続パターンに対する operation がどれほど自然に定義できるのかがよくわからなかったので今度お会いしたらその辺りをお聞きしてみたいと思います。

・機械学習応用のフロンティア
最初は顔認識システムを開発しているオムロンの方のお話。
質疑ではビジネスになるのかどうかというなかなかシビアな話。
技術的には、職場で近い栗田さん@産総研に話を聞くことも多いのですが、
やはりViola-Jones 強しという感じですね。

最後のトークは加納先生@京大による製造業における機械学習の話。
製造業における裏話的な内容も盛り込まれたとても面白い話だったのですが、
個人的にはカーネル関係の話に着目。
岩波本にはカーネルPLS (partial least square) の話は書かなかったのですが、
製造業では結構使われている様子。
どこに使われているのかあんまり知らなかったし,定式化も正準相関分析なんかと相当かぶるので不要かと...(それに一つ増やすとバランス的に別のところも増やしたくなるので本が巨大になってしまうという事情もあります)
というわけで製造業の読者を失ったかもしれないのでサポートページにいつか足しておきます.(これもいつになるやら)

というわけで以上企画セッションの感想でした。





ところで、なぜか来年実行委員長することになってしまいました
(福水さん@統数研と co-chair ですが)

選挙運動もしていないのにいきなり野党から与党になってしまった感じです.
今までIBISに対しては非公式を売りにして好き放題言ってきたのですが,これからは多少
控えたほうがよいのでしょうか.(無理かも知れませんが)

懇親会で言いましたが,IBIS はもともと絶滅危惧種の朱鷺になぞらえて絶滅危惧の
研究者の集まりとしてスタートしたわけですが,いまやgoogle やらマイクロソフトといったすごいところがまじめに取り組むようなすごくメジャーな研究分野になったので多くの参加者は
全然絶滅危惧種ではなくなりました.

マイノリティが好きなので最近あまりIBISでも見なくなったような濃い理論研究が
もう少しあった方が個人的には好きです. もしそういった方々が,
「最近のIBISはちょっと雰囲気違うから出しにくいな」
とか感じているならば,そういうのを再度増やすような企画があってもいいなと思います.
(もちろんプログラム関係はプログラム委員会の方で決められるわけですが)

それから、いろいろなルートで学生さんなどから「IBIS はしきいが高いので出せない」という話を聞きます。
確かに血気盛んな?若い先生方が多いので、突っ込まれることも多いかもしれません。
しかし、「ちょっとしたネタを思いついたけどちゃんと実験するの面倒だなー」というときでも、
IBIS なら「ちゃんと実験しろ」というつっこみはまずないので、逆に出しやすい面もあります。
それに、下手な国際会議出してあまり反応がないよりも深いディスカッションができる場だと思います。

まあともかくIBIS2009スタッフの方々ご苦労様でした。
IBIS2010は東京近辺でやりますので投稿&参加よろしくお願いします。

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IBIS2009報告1 「ポスター発表編」

IBIS2009今年は博多で開催。
博多はおいしい食事とおいしいお酒が満載でかなり胃が疲労して帰ってきました。

会議報告、とりあえず自分の発表があったポスターセッションから。

紙のプロシーディングスをぱらぱらしながらポスターをまわるというのが理想ですが
今年も紙はなし。(去年はプロシーディングスそのものが発行されませんでしたが)
というわけで自分で印刷&製本しようとしたけど両面印刷をしたら
プリンタの調子が悪くいきなり挫折。しかたなくアブスト集(webページ)だけ印刷して
もっていきました。


ポスター発表の長所・短所
一言で言えば オーラル=コース料理・定食、ポスター=アラカルト という感じでしょうか。

・密なディスカッションをするには最適ですね。

・自分の興味のあるのだけを選んで聞けるというのもいいです。

・でも、中身を多くの人に知ってもらうのはなかなか難しい。

・興味がある内容かどうかぱっと見て見分けるのも難しいし、あまり興味のないポスターに
 つかまってほかのポスターが聞けないというのもつらい。

・これらの欠点を補うのがポスタープレビューですが、1分ではなかなか難しい。
 時間を単純に増やせばいいかというとそうでもなさそうだし。

・人気のあるポスターはお客さんがいつまでも掃けず、なかなか聞けないというのも難点です。

・こう考えるとポスターは聞く側のテクニックがかなり要求されるように思います。
 自分はあまりうまい方ではないですが。

さて、自分関係では3件(そのうち自分が筆頭のは2件)ポスター発表でした。

・1件目
 自分がセカンドオーサーの藤木さん@同僚の発表は、正規分布の空間の次元削減の話。
 最近藤木さんとやっているユークリッド化という話と私が前からやっている指数分布族の
 次元削減をくっつけた話で、非線形当てはめ(カーネルもあり)にも拡張しています。
 私の時間&能力的な問題で実験結果がのせられずすみませんでした。

・2件目
 次は伊庭さん@統数研との共同研究で、カーネルMCMCで入力にもノイズがのっている
 モデルの関数推定。 リプレゼンター定理そのものは成立しないのですが、
 カーネルならではのトリックが効くという話。 「隠れ変数のある場合のカーネル法」という一般化
 という意味では応用は広いのですが、技術的にはまだまだクリアすべき課題が多いです。
 このポスターは比較的お客さんが少なくて、しかも半分は伊庭さんにやってもらったので楽でした。

・3件目
 最後はしましまさん@同僚との共同研究で、しましまさんの考えた「飼いならし」の理論解析。
 「高品質な少数サンプル」+「低品質な大量サンプル」という問題設定が興味を引いたのか、
 解析部分のマニアックさにも関わらず大人気で、声が枯れるはほかの発表は聞きにいけない
 などうれしい悲鳴をあげていました。

二日目のポスターは全然聞けませんでしたが、一日目では竹内さんと福水さんが
マニアックなポスターを出していて面白そうでした。 竹内さんのはちゃんと聞くチャンスが
なく残念でした。 あと、全般的にカーネルの話は多くていろいろ面白そうでしたが
やはり人気の高いポスターはなかなか聞けませんでした。

若手のポスター発表は奨励賞の対象となり、受賞者はIBIS公式ホームページの方に掲載されています。

受賞された方、候補の方々の論文ももちろんすばらしいものですが、それ以外の発表も例年通りとても質の高い発表で、実質査読なしでこれだけの質が保たれているのはすばらしいと思いました。

次回は企画セッションの感想を投稿する予定です。

応用数理書評など

台風一過、みなさまのところは被害等ありませんでしたでしょうか。

世の中では少し前に民主党の鳩山由起夫さんが首相になりましたが、鳩山さんは計数出身で、
知人からの情報によると卒論がかの南雲仁一先生の研究室で甘利先生が南雲研の
助教授だったときらしく、甘利先生のコメントが出ています (東京新聞記事
同じ学科を卒業しても進路は様々ですが、計数出身の首相と言うことで科学行政にも多少は明るい未来図を描いてもよいのでしょうか。

さて、カーネル本関係ですが、いくつか動きがありましたので報告します。

まず、岩波書店から出ている「応用数理」の2009年 9月号に今年 IBM からこれまた東大計数に移られた鹿島久嗣さん(=@kashi_pongさん)が書評を書いてくださっています。

注記1:ちなみに、人工知能学会に書評を書いてくださった井手さんもIBMで、IBMには足を向けて寝られません。 Thinkpad を愛用してきたのですが、今は Thinkpad を買っても IBM には貢献できないですね

注記2:それから、応用数理9月号に載るというのは前々から聞いていて、英語タイトルとかもこれのために考えたのですが、この雑誌は岩波発行ですが基本的に応用数理学会の会員に配られるもので、小さな書店にはなかなかなくて、産総研でも地質関係の図書室に今日やっと入ったのでこうしてブログを更新しているわけです

鹿島さんといえば特にグラフカーネル関係では世界トップレベルの研究者で、私よりはるかに若いですがカーネル法についても私よりずっと造詣が深く、そのような方の書評というのはむちゃくちゃ緊張して読みました。
が、大変好意的に書いてくださっており、ほっとしました。5章のカーネル設計の話は私は概略的なことしか書かなかったので、むしろ鹿島さんが本格的に別のどこかで執筆されるのを楽しみにしております。(すでに学会誌等ではいろいろ書かれていますが)


さて、次の話題はカーネル本の輪講について。
産総研でも少し前に私の近くで輪講してもらっていたのですが、ネットで検索していたところ、Rで学ぶクラスタ解析などで有名な新納浩幸先生の研究室で輪講していただいているようです。リンク:研究室輪講のページ
後ろの章の担当の方は結構きついと思いますががんばってください。


次にブログ関係。 いつも @shima__shima さんに教えてもらってばかりですが、twitter に流れていた記事をぼーっと見ていたら @y_benjo さんがブログに記事書いてくれていたのを見つけました。リンク:ゼミのちはじめてのカーネル法

リプレゼンター定理の2カ所の違いがよくわからないとのことでしたが、確かに大して違いないです。
ノルムの単調増加関数に一般化したのと、再生性の言葉を使って言い換えただけで、本質的には同じ証明です。
(もともと2章の方は証明がなかったのを編者の伊庭さんの suggestion で加えたのです。 伊庭さんに感謝)


さて、カーネル本は「確率と情報の科学」というシリーズですが、ときどき集中講義や非常勤で授業をしたりするときに感じるのは、線形代数や微分積分に比べて確率統計を知らない学生さんが多いということです。(かくいう自分もそうでしたが)

これは高校や大学で確率統計が選択科目になっていることが多いという背景もあると思います。
また、確率の概念が難しいという以前に、確率の記法のところで意外につまずいている人が多いということがわかったので、カーネル本のサポートページに「確率の記法」というページを作りました。
  (これは朱鷺の杜wikiに書くべきだったかな... でもまあどこに書いてあるかと言うことは今の時代あまり重要ではないですね)

あと、最後になりましたが今年の IBIS のポスタープログラムが出たようですのでここでもお知らせしておきます。

追記:今週末は産総研停電のためサポートページにアクセスできませんのでご了承ください。

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