朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

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Rによるベイジアン動的線型モデル

Rによるベイジアン動的線型モデルという本を翻訳者のNTTドコモの萩原さんから献本して頂きました.
直接面識はありませんがありがとうございます.

この本は翻訳本ですがサイズも和書サイズでコンパクトで持ち歩くのも苦労がないというのが大きなポイントです.
洋書はたいてい分厚くて翻訳の時はそれがネックになることが多いです.
ビショップ本もそのおかげで上下巻に分けることになりましたが,この本はフォントを小さくするなどして小さく収めています.

内容はRのパッケージであるDLM (dynamic linear model) パッケージを使ったベイズ流の時系列解析の本です.
具体的にはカルマンフィルタのようなところからパーティクルフィルタ(逐次モンテカルロ)までさまざまな手法が説明されています.
線型モデルに限定しており,一般の状態空間モデルみたいになんでもOKということはありませんが,かなり広い範囲の時系列に適用可能な話になっています.
なかなか機械学習の教科書だと載っていないイノベーション,可制御性や可観測性といった制御理論の重要な概念に言及されていることも特色だと思います.

このブログでも再三パーティクルフィルタの紹介はしているのですが,結局のところ私自身は研究でパーティクルフィルタを使ったことがありません.一応ホームグランドであるRのパッケージということなので,ぜひ今度は何か時系列解析するときには使ってみたいと思います.

原著者序文には,「(訳者の方が)本書をただ読んだだけでなく,内容をチェックし,Rコードの1つ1つの各部分までもテストし,われわれの仕事を詳細にわたって改訂してくれました」と書いてあります.
翻訳本はいくらでも手抜きすることも可能ですが,ビショップ本のように原著を改訂するぐらいの気合でやれば相当いいものを作ることができます. 本書もそのような本になっていると思います. どうしても翻訳調の文になるのは仕方がないところですが,訳語や言い回しなどはかなり苦労された感じで,読みにくいということは全くありません.

こういう専門書は本当は日本人の著者が日本語で書き下ろすのがベストだとは思いますが,昨今みんな忙しくて書く暇がなく(それゆえ岩波本のシリーズも遅れていますが),ページ数の制限などからあまり詳しくも書けません. その点洋書はしっかりと書かれているのでじっくり勉強するのに適していると思います.

ビショップ本を何度か引き合いに出しますが,あの本もビショップの書く力もさることながら,謝辞にちょこっとだけ書かれている Markus Svensen さんという超マニアックな TeXnician がいたから完成したというところはあると思います.
日本だとなかなかこういう執筆体制が取れないということもいい和書がなかなか出ない背景にはあるのではないでしょうか.
ちなみに,残念ながら Svensen さんは Microsoft を退職されたようなのでもう抜本的にはビショップ本の改訂も難しいという状況のようです.
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