朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

神経回路学会

NC研究会では神経回路学会の理事会も開かれる.
大して仕事はしていないけど,理事の任期も終わりなので神経回路学会に関するいろいろなことを覚え書きしておこう.(といっても理事会内部だけの情報は当然ですが書けません. 悪しからず.)

昔は統計的学習理論みたいな話は,通信学会は別として神経回路学会ぐらいしか出すところがなかった. 人工知能学会もノリが全然違ったし,神経回路学会なら実データで実験していないからといって批判されることもなく,面白ければ素直に面白いと思ってくれる人たちが集まっており,すごく居心地がよかった.

だが,最近では神経回路学会でそういう発表を聞くことも少なくなった. これにはいろいろな理由があるが,やはりナマモノの脳と学習理論には大きな壁があって,結局のところなかなか理解しあえないということがあった. この路線で元気がいいのは計算論的神経科学や,脳データの情報論的解析だけだ.

統計的学習理論の人たちはどんどん抜けて,それこそ IBIS とかに向かってしまった. まあ世の中が変わってきたといえばそれまでだが,神経回路学会のごった煮的な雰囲気は貴重な場で,こういうのを残しておくことも大事だと思う.

こういう状況下において,神経回路学会の戦略としては,まず,時限研究会というのを公募して補助を出している. smapip みたいな話でも通っているから,こういうのを利用して盛り上げていくというのは非常にいいことだ. ほかにも,学生へのワークショップ参加の補助制度を出したりしている. さらに今後また新たな政策を打ち出すようだから,学習理論研究者もうまくこういうのに乗ればうまみがあるのではないだろうか.

神経回路学会に限らず問題なのは,研究会や学会が無闇と増えていることである(と書くと上の時限研究会の話に矛盾しているような). それぞれ専門化が進んでいるということなのかもしれないが,横のつながりが見えにくくなるので,あまりに数を増やすというのも問題ではないだろうか. IEEE は Neuro と Fuzzy と GA を統合して Computational Intelligence Society を作った. この筋で行けば,神経回路学会とファジィ学会(今は名前変わったかな)と人工知能学会とシステム制御情報学会と計測自動制御学会と電気学会の一部を全部統合して(ほかにもあるかも),通信学会に組み込むという話があっても別におかしくはない. まあこれは郵政民営化より難しい問題だとは思うけど.

さて,神経回路学会の学会誌の編集長が倉田さんから篠本さんに代わった. 篠本さん自身いろいろアイディアがありそうだから,斬新な企画が出てくることが楽しみである. でも,そもそも何かおもしろいアイディアがあれば,それが実現できるのはほかの学会誌よりも断然神経回路学会誌だ. というわけで,面白いアイディア大募集!というのを編集長の許可なくやっていいのだろうか.

神経回路学会誌は和文論文誌でもある. 一応私はその論文委員というのも仰せつかっており,査読にまわしたりするのだが,査読も早いし面白い論文ならうるさいことは言わず採択率も高い(この辺あまり変なことを言うと語弊があるかな). 最近は学習理論とかの論文は少ないが,こちらも面白い論文をどしどし投稿して欲しい.
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テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

物理学会領域11

1年半ぶりに物理学会に行ってきました.古巣の「物性基礎論・統計力学」に顔を出しましたが,なんか元気がないというか,ちょっと淋しい感じでした.理由を考えてみると,(1)カオス・複雑系などが減ったあと,「物理以外なんでも」の部門で後を埋める筈の「情報統計力学」「経済物理」「ネットワーク理論」などがあまり盛り上がっていないこと.これらは物理学会以外では結構さかんなのですが.(2) 新しい「物理」,特に「ボーズ凝縮の新しい実験的展開」「量子計算」「電子系の難しい数理」なんかがよその領域に流れていって領域11には来なかった.というような事情があるように思います.結局中心は「非平衡統計力学」とかで本来の「物性基礎・統計力学」なんで正しい姿に戻ったような気もしますが,ここでもごった煮的な魅力は減っているようで残念です.ちなみに印象に残ったのは計算機シミュレーションをやっても「パターンの絵」とか「動くとこの図」とかを見せなくなったことで,結果のグラフばかり.私たちの世代の前の前に戻ったような気もします.年かな~.

  • 2006/04/09(日) 21:31:53 |
  • URL |
  • 伊庭 #-
  • [ 編集]

伊庭さん物理学会報告ありがとうございます.
まあ過渡期とかはこんなものかもしれませんね.

  • 2006/04/09(日) 22:09:29 |
  • URL |
  • あかほ #kKb.gW6k
  • [ 編集]

僕が観測できたのは、

物理学会in松山で伊庭さんを観測したのは、「スピングラス」セッションだけでした。あまり共通項がないわけでもないのですが、、、、、

確かにほかのセッションを見ていると、停滞期のような雰囲気が流れているコミュニティーもあったのですが、、でもブレークスルーがあるまでは地道な研究が必要なのかもしれないと初心者ながら思っていたのですが、、、

  • 2006/04/09(日) 22:15:52 |
  • URL |
  • nadja #-
  • [ 編集]

nadja さんありがとうございます.
そうですね. 最近は
「元気がいい」=「忙しくて実質研究できない」
となっている研究会もあるようで...

ちなみに私の研究グループは私が入った16年ぐらい前からほとんど空気が変わっておらず,ある意味停滞かも,でも逆に最近はこういうのも大事かなと... 別名産総研の癒し研究室と呼ばれています^^;

  • 2006/04/09(日) 22:51:00 |
  • URL |
  • あかほ #kKb.gW6k
  • [ 編集]

>確かにほかのセッションを見ていると
ほかのセッションばかりではないと思うけど・・(苦笑).まあ,中にいる人はそれなりに盛り上がっているのかもしれません..

  • 2006/04/11(火) 23:33:56 |
  • URL |
  • 伊庭 #-
  • [ 編集]

「情報統計力学」でもnadjaさんの紹介しておられたMezardたちの本のようなのは,かなり前向きに評価できると思うのですが.世界の広がりが国内のそれとは一味違うように思えます.

  • 2006/04/11(火) 23:35:35 |
  • URL |
  • 伊庭 #-
  • [ 編集]

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