朱鷺の杜(IBIS)ブログ

情報論的学習理論(IBIS)に関する管理人の独断と偏見に満ちた意見

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素数の逆数の和は10以下

...たぶん今世紀中は.

というのはもちろんエイプリルフール的なジョークです.
というわけで今日は IBIS とはあまり関係ない雑談モード.

これは以前 O 大学の数学科の先生に聞いた話で私のオリジナルではありません.

市民講座みたいなところで某先生が講演されて,素数の逆数の和が無限である
という説明をしたそうです.
すると聴衆の中から高校生が

「これまでにわかっている素数だけの逆数の和はどれぐらいなんですか?」

という質問をしたそうです.
唐突な質問にその場ではむにゃむにゃとお茶を濁した先生が後で調べたところでは
これまでにわかっている素数の逆数の和はせいぜい 4 くらいということが判明.
今世紀中に10まで行けるかどうかという話です.

全部足せば無限に発散するもののうち,わかっているものだとたった4にしかならない
というのはなかなか衝撃的ですね.

もう少し具体的に考えてみると,まずこの素数の逆数の和は n までで log(log(n))
でよく近似できることがわかっています.
コンピュータで扱える 64 ビットの数の最大値を 2^64 としてこれの loglog を
取ると約 3.79 です. 単純にエラトステネスのふるいでここまでできたとすると
約 4 ということになります.
この路線で10まで行くためには 2^64 の400倍ぐらいの桁数の数まで扱う必要が
あり,これは今世紀どころか人類滅亡するまで無理そうな気がします.
素数についてはメルセンヌ素数とか特殊な形の素数もあり,そういうのは大きいのも
わかっていますが,そういうのの逆数を足してもほとんどゴミにしかなりません.
たぶん素数の無限系列が発見されなければとても無理でしょう.
それでも n^2 + n + 41 という形の素数(オイラー素数,しかも全部は素数じゃない)
でも逆数の和にしちゃうとたいした数にはなりません.
loglog おそるべしです.

それにしても素数に代表される数論の世界というのは人気がありますね.
単なる数ですからものすごく身近で,未解決問題と言われているものも問題自体は
非常にわかりやすく,中学生のときにフェルマー予想の証明とか誰しも考えたこと
と思います. 入りやすいわりにものすごく奥が深くて,フェルマー予想も一般の
場合の議論とか,リーマン予想とかになるともはや多くの人はついていけないでしょう.

それでもフェルマー予想を初等的に証明したとかいう人は後を絶たないし,
フェルマー予想の本も山ほど出ていてよく売れています.
学習理論もいろいろ面白い話はあると思うのですが,そこに至るまでに数論ほど
容易でないということはあるのでしょうね.

さて,最初に書いた素数の逆数の和ですが,

・「理論的には無限になる」
・「実際にわかっているものだと4とかにしかならない」

という相反する主張となり,これは昨今“何の役に立つんだ”的な議論を
思い起こさせます.

数学的には前者の立場が圧倒的に強くて,そこからそれこそ無限の数学的な広がり
につながっていくということだと思います. 私も前者には美を感じます.

一方,後者の立場は現実的には有用な知見ということかもしれません.
これも数学的にまったくつまらないというわけでもなく,その非自明さには
それなりにおもしろさがあるわけです.
だけど,前者を切り捨てるというような議論はおかしいでしょう.

研究の世の中も重点化と称して一つの価値観で進んでいく傾向がありますが,
研究は多様な価値観を認めて分散投資していくべきだと思うのです.
(研究のポートフォリオをやるという話はよくありますが,研究の不確定性の大きさを
ほとんど見ていないような気がします.)

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コメント

二重対数をとっても線形にしかならない

そういえばこんな話しが
http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20081124/p2

  • 2009/04/05(日) 05:22:09 |
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  • しましま #-
  • [ 編集]

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